彼はぶれのない綺麗な姿勢のままゆっくりと絨毯を移動すると、中央まで進み出てそれぞれの方向に頭を下げた。
ワッと参列者の拍手が咲き乱れる。
「なんて、凛々しく若々しいのかしら」
「それでいて確かな自信も感じますな。うんうん、まさに王族の風格……!」
「これは、レビエラ王国は今後とも安泰だ!」
そのような声が聞かれる中、クラフトはゆっくりと穏やかな表情を絶やさぬまま、神父の指示に従いひな壇の右側へ。
そうして、最前列に座る国王と第二妃(クラフトの母)の方へもにっこりと微笑みかけた。
彼らに手を振り返され、厳かな礼で答えつつ――いつもならば、決して感情に流されず冷静に事態を俯瞰するクラフトも、内心今日だけは、自ずと胸の高鳴りを感じ取っている。
(ふふふ。いろいろと計画を調整する必要はあったが、これでペリエライツ家との婚姻は成功した。思ったよりスムーズに運んだな。兄上ならばこの事態を重く見て、なにかしら妨害の手段を取ってくるかと思ったけれど、さてはもう、諦めてしまったのかな)
クラフトの中では、すでに王位継承争いの趨勢はほぼほぼ決している。
ワッと参列者の拍手が咲き乱れる。
「なんて、凛々しく若々しいのかしら」
「それでいて確かな自信も感じますな。うんうん、まさに王族の風格……!」
「これは、レビエラ王国は今後とも安泰だ!」
そのような声が聞かれる中、クラフトはゆっくりと穏やかな表情を絶やさぬまま、神父の指示に従いひな壇の右側へ。
そうして、最前列に座る国王と第二妃(クラフトの母)の方へもにっこりと微笑みかけた。
彼らに手を振り返され、厳かな礼で答えつつ――いつもならば、決して感情に流されず冷静に事態を俯瞰するクラフトも、内心今日だけは、自ずと胸の高鳴りを感じ取っている。
(ふふふ。いろいろと計画を調整する必要はあったが、これでペリエライツ家との婚姻は成功した。思ったよりスムーズに運んだな。兄上ならばこの事態を重く見て、なにかしら妨害の手段を取ってくるかと思ったけれど、さてはもう、諦めてしまったのかな)
クラフトの中では、すでに王位継承争いの趨勢はほぼほぼ決している。



