~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

「売ってもらえるこの店? 抱えてる借金ごと。それからあなたも含め、今いる従業員もそのまま雇いたいんだけど、どうかしら。あなたの商売の知識を見込んで、私の開く新しい店に協力してもらいたいの」
「そっ、それはいったいどのような」

 青ざめて口をぱくぱくさせる女性に手を差し伸べてやりながら、ジェミーは自分の構想を彼女に伝えた。

「そうねぇ。言うなれば、女性のためのお店かしら。ここに来れば、夢のようなアイテムがなんでも揃う、そんな欲張りなお店にするつもりよ。もちろん、働いてくれるあなたたちにも相応の報酬は払うわ。ここにある金貨を分配して辞めてもらってもかまわないし。でも、私気が変わりやすいから、断るにしろ申し出を受けるにしろ、今決めてね」

 あえてジェミーは早めの決断を迫り、オーナーの女性はいったん客を追い出して店を閉めると、直ちに従業員を集め相談をし始めた。ジェミーが積んだお金は、軽く屋敷の二、三軒は構えられるほどの金額で、彼らで分配しようと、全員が数年は遊んで暮らしても十分にお釣りがくる。話を断わるという選択肢もあるにはあるが、黄金の輝きは魔性の魅力を備えていた。山盛り金貨の実物を前に、速やかに全員の意志が統一される。

 やがてオーナーの女性を筆頭に、従業員たちはまっすぐ横一列にならぶと、ジェミーに頭を下げた。