「すぐに彼らのもとに向かいましょう」
「ああ、ついてきてくれ」

 これで全員の救出が叶いそうだが、未だふたりの顔からは憂いが抜けきらない。
 それにあてられたかのように疲れた足に鞭打つと、ルゼは小走りで来た道を引き返していく。

 だが、その暗い道のりの奥を見つめる度にずくずくと傷が疼き、それはなんとも言えない高揚感に変わって頭の奥を刺激してくる。まるで、古い物置に仕舞ったまま忘れきっていたおもちゃ箱に、偶然足をかけてひっくり返してしまったかのような……。