~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

 少年期の貴族学校でのトラウマは、彼に権威ある大貴族への反発心を抱かせてしまったのかもしれない。だが、それだけではないと、彼は窓の外の景色を親しみの持った瞳で見つめた。

「当家のことも、たかが酒成金と人は言うが、それでも結構。人は、この世を謳歌するために生きている。そんな彼らの苦しみを、ここの人たちが造る酒は束の間忘れさせ、癒しを与えてやっているのです。素晴らしいことではないですか。ボクは、こののどかなヴォルド領が好きなんです」
「む、ぐ」

 カーライルの清々しい表情に面食らったルブロは目玉を白黒させている。
 ジェミーだっててっきり彼は、自らの生まれや家族を嫌って帝国に移ったのだと思い込んでいた。だがカーライルは、それを覆すように自らの胸に手を当て、そこに宿る思いを語ってみせた。

「どうしてボクが帝国に赴いたのかを言っていませんでしたね。それはもちろん、王国の中で自らの地位を高め、この心を救ってくれたペリエライツ家の人たちへの恩返しするため。けれど、ボクの中にはもうひとつの思いがある。帝国からここにはない技術を持ち帰って、いずれあなたから受け継ぐこの地を今以上に栄えさせ、国中の人々に称えられるところが見たいんです! 父上は、このヴォルド領を愛していないのですか!?」
「わ、わしとて、この地に愛着がないわけではないが……」