ジョッキが足元で砕けて、ジェミーはその場から飛びのく。

 この様子だと、ルブロ叔父を協力させるのは生半なことではない。だが、このままはいそうですかと屋敷に帰ったって状況はなにも改善しない。どうしたものかと彼と睨み合いを続けていると、食堂の扉がバタンと開く。

「失礼。父上、来客があったと聞きましたが、もしや――」

 そこに現れたのは、最近ひと揉めあったばかりの美少年――にしか見えない美青年。
 帝国風の装束を纏い、緑の髪を背中に未だあどけなさを残す従兄との思いもしない再会に、ジェミーは声を弾ませた。

「カーライル!」
「ジェミー、やっぱり君だったんだね!」