~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

 ……いや。考えて見れば、書類上の後見を務めているルブロ叔父に許可を求めるか、もしくは家族の誰かだけを解放して、他の安全と交換条件で婚約に関して首を縦に振らせればよかったのだからそう難しいことでもない。そうして結婚後、ペリエライツ家の支援を表明させてしまえば、見事王手にチェックメイトというわけだ。

「くっそー、悔しいわ。あれだけ頑張ったのに」

 だんと、テーブルを強く叩いてしまい、ミリィがびくっとする。
 振り返ってみればこの数か月間はかなり激動の日々だったと言えよう。

 雷に打たれて前世の記憶を自覚したと思ったら、転生先は悪役令嬢。しかも、行く末は断罪の上、家族もろとも処刑ルートまっしぐら。なんとかそれを回避しようと、立ち振る舞いをガラッと変え、王太子からの暗殺を回避するために第三王子麾下のルゼを仲間に引き入れ、ジェミーズ・ドロアーを立ち上げたりしながらデールとの交渉に及んだ。

 するといつの間にやらジェミーが帝国と第二王子との関係を潰す役目を担うことになってしまい、現地に行けば帝国の立て直しは命じられるわ、クラフトから“永の蒼”とかいう国宝を盗み返さなくてはなるわでさあ大変。
 前世知識をフル活用して食用チョコレートを完成させ、チョコレート外交で帝国を復活、国宝も奪い返して万々歳の結果に終わったはず……だったのに。今度はなんとペリエライツ家の面々が行方不明になったというではないか。