クラフトが所持していたのは、王国の役所で配られている婚姻証書だ。
ジェミーは差し出された白い紙面をひったくると、テーブルにあった万年筆で苛立ちの滲む署名を書き殴る。
「これでどうでしょう」
「ここ、間違ってる。正式に受理されないよ」
「チッ」
ちゃんと予備の紙面も用意されており、ジェミーはわざわざ聞こえるように舌打ちすると、甚だ遺憾ながらもペンを動かした。その気持ちがサインの末尾に長いためらいの筋を残す。
「ありがとう、それで十分だ」
(く、ぐやじ~~~!)
書類を受け取ろうとする彼の手のひらに、この万年筆を突き立ててやれたら――!
元々ジェミーが彼を遠ざけようとしたのは、婚約からなる自身への断罪と、家族の処刑を回避することが目的だったけれど……今となってはそれを抜きにしてもこの男に嫌悪感を抱いている。
やはりこいつはヒーローなんかじゃない、女を政略の道具としてしか見ていないクズなんだ!
ジェミーは差し出された白い紙面をひったくると、テーブルにあった万年筆で苛立ちの滲む署名を書き殴る。
「これでどうでしょう」
「ここ、間違ってる。正式に受理されないよ」
「チッ」
ちゃんと予備の紙面も用意されており、ジェミーはわざわざ聞こえるように舌打ちすると、甚だ遺憾ながらもペンを動かした。その気持ちがサインの末尾に長いためらいの筋を残す。
「ありがとう、それで十分だ」
(く、ぐやじ~~~!)
書類を受け取ろうとする彼の手のひらに、この万年筆を突き立ててやれたら――!
元々ジェミーが彼を遠ざけようとしたのは、婚約からなる自身への断罪と、家族の処刑を回避することが目的だったけれど……今となってはそれを抜きにしてもこの男に嫌悪感を抱いている。
やはりこいつはヒーローなんかじゃない、女を政略の道具としてしか見ていないクズなんだ!



