(よっし。探してみましょ、第三王子!)

 ジェミーは令嬢たちの会話に頷きながら、心の中でそんな決断を下す。
 なるべくなら今後も、第一王子サイドを刺激しないようのらりくらりとクラフト殿下との婚約を躱しきり、なにごともなく学園卒業までたどり着きたいところだ。そのためにもぜひとも第三王子とお近づきになって、防波堤となってもらおう。

 ただし、それまでに何者かが手だししてこないかは運頼みだったが。

(まあ、さすがにいきなり実力行使ってのはやってこないでしょう。悪役令嬢の動向なんて物語には出なかったけど、クラフト殿下との婚約を諦めさせようとするんだったら、普通なら嫌がらせとか、脅しとかから入るはずだしね。学園に入り次第即なにか仕掛けてくるとかナイナイ)

 ジェミーは馬鹿馬鹿しい心配を首を振って頭から追い出すと、再び令嬢たちとの雑談に興じ始めた。
 しかし――この後しばらくして、思ったよりも事態は差し迫っていたのだとジェミーは思い知ることになる。