「私の話は置いておいて、そういえば皆様、聞かれました? どうも、この学年にお忍びで第三王子様がご入学されたという噂」
「それは本当ですの!?」「あっ、私も風の噂に聞きましたわ!」
たちまち庭内の令嬢たちがきゃーと色めき立つ。
王子たちは令嬢にとって、遥か彼方にそびえる山の奥で揺れる一輪花のようなもの。下界からは眺めるのがせいぜいの、決して触れられぬ夢の産物。
それが手の届くところにいて、よしんばお近づきになり、万が一にでも彼らのお気持ちを射止めるなんてことになったら!
家の名声は大きく上がり、やりようによっては王家から潤沢な支援を受けて、贅沢の極みのような生活ができるかもしれない。それは淑女が望む最上級の幸せのひとつではないだろうか。無論、王子妃としての教育や公務など、当人のはかりしれない努力を代償として払う必要があるにしても。
皆がいっせいに第三王子の姿形を思い描く。
「第三王子様、いったいどんなお方なのかしらぁ」
「噂では、王太子デール殿下や、第二王子クラフト殿下ほどには……。ああいえ、失礼なことを言うつもりではありませんが、どうやら美々しいというよりも、見るものを和ませるお顔立ちだと」
「それは本当ですの!?」「あっ、私も風の噂に聞きましたわ!」
たちまち庭内の令嬢たちがきゃーと色めき立つ。
王子たちは令嬢にとって、遥か彼方にそびえる山の奥で揺れる一輪花のようなもの。下界からは眺めるのがせいぜいの、決して触れられぬ夢の産物。
それが手の届くところにいて、よしんばお近づきになり、万が一にでも彼らのお気持ちを射止めるなんてことになったら!
家の名声は大きく上がり、やりようによっては王家から潤沢な支援を受けて、贅沢の極みのような生活ができるかもしれない。それは淑女が望む最上級の幸せのひとつではないだろうか。無論、王子妃としての教育や公務など、当人のはかりしれない努力を代償として払う必要があるにしても。
皆がいっせいに第三王子の姿形を思い描く。
「第三王子様、いったいどんなお方なのかしらぁ」
「噂では、王太子デール殿下や、第二王子クラフト殿下ほどには……。ああいえ、失礼なことを言うつもりではありませんが、どうやら美々しいというよりも、見るものを和ませるお顔立ちだと」



