元下級令嬢風情に、ここまでいいように宣われては、ペリエライツ家の名折れ。
　そして、度重なる王子たちの陰湿な策略に、そろそろジェミーの苛々も限界を突破している。

　制止しようとするミリィの手を振りきると、彼女はセニアを怒りの瞳で貫き、人差し指を彼女の鼻先につきつけた。

「望むところよっ！　そんな押しぎせの身分程度で我がペリエライツ家に楯突くなど、いかに身の程知らずか、あなたにとくと思い知らせてあげるわっ！　覚悟しなさい！」
「おっ御嬢様ぁ、お待ちを！」

　思いっきり白手袋を踏みにじり、セニアに向かって蹴り返すと、憤然とジェミーはセニアーズ・クラフトを後にする。

　こうして、物語の筋書きとは異なる形でセニアとジェミーの因縁の戦いの火蓋が、切って落とされたのであった。