多忙な日々を送るジェミーのもとに朗報が舞い込んできたのは、その後すぐだった。
　ブラウンが目を覚ましたということで、ミリィが屋敷に戻ってきたのだ。

「御嬢様、大変な時にお役目を離れてしまい、まことに申し訳ありませんでした！」

　いつになく真面目な態度で頭を下げるミリィを、ジェミーはほっとした表情で迎え入れた。

「いいのよぉ、誰だって家族は一番大事だもの。退院するまで看病してあげなくて大丈夫なの？」
「はい、今はジェミー様のもとについていてやれと兄が。生来頑丈なたちですし、そこまで大きな怪我を追っていたわけではなかったので。それより御嬢様、ご立派です。当主代行の役目を果たされつつ、こうしてわたくしどもの心配までしていただけるなんて。うう、あの時御嬢様に雷が落ちてきて、本当によかった～」
（あんた、自分の言ってる意味わかってる？）

　感極まったせいで問題発言をさらっとこぼすミリィに憮然としつつ、ジェミーは咳払いすると会話を仕切り直す。

「で、ミリィ。ブラウンから事故についてなにか聞けたりした？」

　するとミリィはきりっとした顔に戻り、こう答える。