数か月ぶりの学園は、若々しい活気で満ちている。

 青春の空気を浴びて荒んだ気持ちを癒しつつ、門を潜ったジェミーは校舎内へと立ち入った。
 帝国のいざこざに続き、ペリエライツ家の執務を肩代わりしなければならなくなったことで、彼女はしばらく学園の授業も受けられそうにない。なのでここいらで休学届を出しておくことにしたのである。

 帝国での噂が多少広まっているのか、視線を向けてひそひそと囁き合う生徒たちに微笑みかけつつ、ジェミーは久しぶりの教室へと入っていった。

「あっ、ジェミー様! お久しぶりです! お手紙を送ったのにどうしてお返事をくださらなかったのですか?」
「私たちは寂しかったのですよ! せっかくの夏休みでしたのにジェミー様とお話もできないなんて。いったいどんなことをされていたのかお聞きしてもよろしい?」
「リエッタ様、イリス様、ごめんなさい。いろいろとご心配をいただいたみたいで」

 すると、わっと明るい顔で寄ってきてくれたのは、取り巻きだったお馴染みのふたりだけではなかった。たちまちに席の周りに囲いができ、さながら入り立ての転校生みたいな感じになる。

(あれ~? 私ってここまで人気があったかしら)