~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

「わ、私には、ペリエライツ家の末子として家を守ってゆく義務があるのです! 父たちが不在の今、たとえあなた様が望まれたとしても、色恋などにうつつを抜かしているわけには参りませーんっ!」

 断言したジェミーがぜはーぜはーと息を吐きながら思いっきりデールを睨みつけると、意外なことに彼はやすやすとジェミーを解放してくれた。

「そうか。ならば仕方あるまい。お前がそういうのなら、続きはまたの機会にしておいてやろう」
「ええ! 今後とも、ぜひ節度ある関係を保ってゆけますことを切に願っておりますわっ! ではご機嫌よう」

 ちぐはぐな答えを返し、いつも以上に丁寧なお辞儀をしてさっさと退室していくジェミー。部屋の中からは愉快そうな笑い声が響いているが、聞こえないように耳を塞ぐと、廊下の角を曲がったところで彼女は一気に膝からくずおれた。

(次回も次々回もないわよ、ばかたれー!)

 この場で地面におっきな穴を掘れたら「あの女たらしめこんちくしょー!」と、無茶苦茶に扱き下ろしてやれたのに。

 うーん、こと恋愛方面に関しては、ジェミーが自他共に認める立派な淑女への階段を登り切れるのは、まだまだ先のようである。