~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

 あ、壁ドン……。
 そんなことを認識しつつ、ジェミーの前髪にデールのものが触れ、彼は囁いた。

「忘れたか? 俺はお前に言ったな。妃にならないかと」
「あ、あははは。そのようなことを言っておられました、かしらん?」

 笑ってごまかそうとしたものの、王太子の瞳から、目が逸らせない。

「ふむ、誰かに操を立てているのか? それとも、側妃では満足できぬか」
「そそそそういうことではありませんけれど」

 こうして間近で見ると、性格はアレだが彼も非の打ちどころもないようなイケメンだ。絹糸のように細く眩い金髪に、女よりもキメ細かい肌、そして全身から漂うえもいわれぬ色気。このままこうしていたら、命を狙われていた恨みすら忘れて陥落(オチ)てしまうっ!

「どど、どうして私のようなぱっとしない女を欲しがるのです!」

 どうにかこうにかぷいとそっぽを向いて視線を逸らすが、デールはにやにやとおもしろそうにこちらを覗き込んでくる。