~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

「そ、そんなことが起これば、途方もない戦乱が大陸中を包むのだぞ! 貴様らはその責任を取れるのかっ!」
「ですから、そういうことにならないためにも、穏便にことを進めたいわけでありまして。どうかご協力をお願いできませんか?」

 カーライルは困った顔で駄々をこねる子供に言い聞かせるように下手に出る。
 今までは、孤立した帝国が一斉に剣を向けられていたような状況だったのに。気付けば、共和国側の喉元にも鋭いナイフが突きつけられている。
 こうなると、この交渉が破局した瞬間、大陸中の平和が崩壊することにもなりかねない。滝のように汗を流し出した政府高官たちは、やがて絞り出すような声で答えた。

「だ、大統領と協議する。い、一週間ほど時間をいただきたい」
「ああ、構いませんよ。ですが――」

 額をハンカチで拭いながらこちらを睨む共和国側の高官に対して。帝国大使は両手でチョコレートを弄びながら、まるで市場に買い付けに出た時のような気楽さで言った。

「しかし、我々も時間が惜しいですのでね。本日、この条件をお飲みいただけない場合には、貴国の優先度を下げさせていただくしかありませんな。なにせ、ビッカート共和国の方にも、同じ条件で交渉を申し入れているものでして。次はこちらからお断りさせていただくことになるかもしれませんねぇ」