(さっき言ったことって、ただの方便、よね?)
あんな言葉をイケメンに耳元で囁かれてスルーできるやつがいるとしたら、乙女としてあるまじきだ。
ルゼの緊張が浮かぶ横顔を見れば、この場を切り抜けるための芝居とも思えず、自然にジェミーの方もそわそわしてくる。彼が勝ったら、いったいジェミーはどうされてしまうの――!?
「して、ルゼ殿。そちはどのような品を用意してくれたのかの? カーライル大使のものに見劣りするようなら、いっそここで引くも勇断と言えるやものう」
ハードルがグンと高くなり、皇帝はせめてもの気遣いか、今なら名誉を損なう前に引き返すことも叶うと若き伯爵を諭した。だが、ルゼは……。
「お気遣いは無用です。私にも秘策がございますので」
この堂々とした答えっぷりで、カーライルとの勝負を一歩も引かず受けて立つ。そして彼はウィリアムから余分な装飾のない地味な小箱をもらうと、皇帝の前で開いてみせた。中には、クッション状の包装に包まれた、ひとつの円型チョコレートが埋め込まれている。
「これか? 先ほどとは違って、なんの変哲もないのう」
あんな言葉をイケメンに耳元で囁かれてスルーできるやつがいるとしたら、乙女としてあるまじきだ。
ルゼの緊張が浮かぶ横顔を見れば、この場を切り抜けるための芝居とも思えず、自然にジェミーの方もそわそわしてくる。彼が勝ったら、いったいジェミーはどうされてしまうの――!?
「して、ルゼ殿。そちはどのような品を用意してくれたのかの? カーライル大使のものに見劣りするようなら、いっそここで引くも勇断と言えるやものう」
ハードルがグンと高くなり、皇帝はせめてもの気遣いか、今なら名誉を損なう前に引き返すことも叶うと若き伯爵を諭した。だが、ルゼは……。
「お気遣いは無用です。私にも秘策がございますので」
この堂々とした答えっぷりで、カーライルとの勝負を一歩も引かず受けて立つ。そして彼はウィリアムから余分な装飾のない地味な小箱をもらうと、皇帝の前で開いてみせた。中には、クッション状の包装に包まれた、ひとつの円型チョコレートが埋め込まれている。
「これか? 先ほどとは違って、なんの変哲もないのう」



