~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

 やはり、その存在だけは彼も知るところであったらしい。そしてどうやら苦手意識まであるようだ。だとしても、まずは口にしてもらわないことには始まらない。
 どの道、このまま突き進まねば未来はない――それを感じたジェミーは大口を叩いてみせた。

「いいえ、私が用意したのはかつて陛下が口にされたのとはまったくの別物。もし、そう思っていただけなかったなら……そうですね、この場にて毒杯でもなんでも賜ってみせましょう!」
(ジェミー嬢!?)(おい、ジェミー!)

 後ろのふたりが囁きかけて来るが、それをジェミーはぎこちない笑顔で黙らせた。

(もしダメだったら、どうにかしてこの場から脱走するっきゃないわね)

 失敗に終わった時の逃走経路をシミュレートしつつ、ジェミーは深々とお辞儀をすると、皇帝の言葉を待った。こう言われれば皇帝も、一国の主として親善大使の言葉を無下にはできまい。やがて、彼はキッと瞳を険しくして頷いた。

「うむ。そなたの覚悟は見て取った。そこまで言うならば、特別に試して進ぜよう。誰ぞ、我が前にそれを持て」

 皇帝の命を受け、静かに動いたのはトーミアス家の家令のウィリアムだ。