~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

 その言葉を受け、神妙に頷いて見せるジェミー。だが、なにかが腑に落ちない。

「御嬢様、それがどうかなさいましたか?」
「ううん、なんでもない。それよりも、お水をもらえる?」
「お待ちくださいませ」

 長時間眠っていたのか、とにかく喉が渇いている。それを解消しようと命じると、水差しからこぽこぽと水が注がれて手元に入り。

「ありがとう」

 訝しむようにグラスを渡してくれたミリィにジェミーは微笑みかけた。
 ただ一言お礼をと、そんなつもりだったのだが。

「うへぁっ!?」

 どうしてか、ミリィはガチャンとひどい音を立て水差しをテーブルに倒すと、どたたとたたらを踏んで大きく後ろに下がってしまった。その両手は、体を庇うように前に構えられている。