「……できたっ! 色もツヤも完璧。本当に、できたんだわ」
ある日の明け方。感動に言葉を失くしたジェミーの前で、縦長のブロック型に成形された一枚の板チョコが産声を上げた。
中央には簡素化した帝国の紋章が刻まれ、窓から差し込む陽光を受けて、柔らかな白い光を辺りに振りまいている。
「不思議な光沢だ。なんとも温かみがあって、どこか優しさを感じる」
ルゼが、調理台の上にのるそれを覗き込み、子供のように視線を傾ける。
「へえ、独特の色合いだが、ずいぶんと上品な感じに仕上がったものだね。ひとつの食品にこれだけの手間をかけるなんて馬鹿馬鹿しく思えたけど、長い時間を経ても腐ったりかびたりするようすもない。保存性が群を抜いているのもいいところだな」
そんな冷静な評価をカーライルが下す中、ジェミーはそれをそっと取り上げると、ぎざぎざの溝に合わせて力を込める。
――パキッ。
耳馴染みのあった小気味いい破砕音が響いて、彼女はそのひとかけを摘まみ上げた。
指が震える。さすがに緊張しているのだ。ここまでの努力を費やしたことは、前世でも今世でもついぞなかったように思う。
ある日の明け方。感動に言葉を失くしたジェミーの前で、縦長のブロック型に成形された一枚の板チョコが産声を上げた。
中央には簡素化した帝国の紋章が刻まれ、窓から差し込む陽光を受けて、柔らかな白い光を辺りに振りまいている。
「不思議な光沢だ。なんとも温かみがあって、どこか優しさを感じる」
ルゼが、調理台の上にのるそれを覗き込み、子供のように視線を傾ける。
「へえ、独特の色合いだが、ずいぶんと上品な感じに仕上がったものだね。ひとつの食品にこれだけの手間をかけるなんて馬鹿馬鹿しく思えたけど、長い時間を経ても腐ったりかびたりするようすもない。保存性が群を抜いているのもいいところだな」
そんな冷静な評価をカーライルが下す中、ジェミーはそれをそっと取り上げると、ぎざぎざの溝に合わせて力を込める。
――パキッ。
耳馴染みのあった小気味いい破砕音が響いて、彼女はそのひとかけを摘まみ上げた。
指が震える。さすがに緊張しているのだ。ここまでの努力を費やしたことは、前世でも今世でもついぞなかったように思う。



