~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

「当ったり前よ。料理っていうのはやっぱり愛だもの! ちょっとしたひと手間の重なりが、食べた人の感動に繋がるんですから!」
「まるでいっぱしの職人みたいに。本当おかしな令嬢ですよ、あなたは」

 顔中を黒く汚しながらチョコと格闘するジェミーの隣で、ルゼも巨大なレードルを手に湯煎作業を頑張っている。その顔はどこかしら生き生きしていて、彼も自分であれこれ作り出す楽しみがそろそろわかってきたらしい。

(いい顔してるじゃない!)

 最近、ルゼがだんだんと明るい顔を見せてくれることが増えて、ジェミーも嬉しい。

「まったく貴族らしくない泥臭い姿だね。ボクが君たちに人の使い方というものを教えてあげるよ。そこ、手を休めるな! そうじゃない、もっとテンポよく腕を振るんだ! 美しくな!」

 一方でカーライルも、負けじと何人もの料理人たちを指揮して、見落としがちな細かいミスをフォローしてくれる。いつの間にかライバルのようになったふたりとジェミー、この三人、なかなかどうしてナイスコンビネーション!

 そんな彼らの熱量に引きずられるように、溶かして冷やして改善してのトライ&エラーはリズミカルに実行され、百回以上の試行錯誤と、数日間の熟成期間を経て、ついに――。