~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

「では、これから調温(テンパリング)という工程に進むわ! (かまど)、一斉点火!」
「「はっ!」」

 帝国内で選りすぐりのパティシェたちに来てもらい、ジェミーは巨大な鍋にお湯を沸騰させていく。たちまちシュンシュンと湯気が辺りに立ち込め、同時に用意されたのは、キンキンに冷やした氷水。

 幸い、帝国の首都近郊には標高のかなり高い山脈があり、毎年この地方では本格的な冬になる前に、その麓辺りに造った洞窟に食料品や果実水などを運び込み、凍らせて保存する習慣があるらしい。そこには冬から春にかけてできた雪やつららを詰め込んでおき、暑くなると解放して、冷たいスイーツや飲み物を作って楽しむのだ。今回はそこにあった氷を存分に使わせてもらう。

 まだ温度計が作られていないのは非常に痛いが、それでも手元に他の重要な文明の利器は存在する。それすなわち、量りと時計。
 大まかな重さが測れるのなら、沸騰したお湯と氷水を同量で混ぜた時、大体の温度は五十度くらいになると目安がつく。
 加えて、ある程度正確な時間を測れる時計の存在も作業を助けてくれた。後は前世知識をもとに、所要時間を測りつつ温度調整を繰り返し、チョコレートの湯煎と冷却を繰り返して試作品を作り上げてゆくだけ。

「ずいぶんとこだわりますね、ジェミー嬢」