~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

「味というか、食感が全然変わるのよ。えーと、たとえば氷は温めると水に変わるわよね? それは雪も同じで、雪と氷、元は同じなのにそれらが違う形をしているのは、その、過程っていったらいいのかな、それぞれのでき方が違うからで……。溶けた雪が再度冷え固まって地面に氷を張るように、チョコレートもあんな感じで形を工夫して整えてあげると、口触りが変わっておいしく感じるの」
「うーん、よくわからないけど、確かにシャーベットと削る前の氷では、口当たりはまったく変わるかな。粒の大きさの違いが口にした時の印象を大きく変える、とかいうことなのかな」
「あはは、そ、そんなとこでしょうね。私も専門家じゃないから、詳しくは知らないんだけど」

 その辺り、ジェミーも深く原理を理解しているわけではないから細かくつっ込まれたら負けだ。自分でも、過去に読んだ本で各温度帯でのココアバターの結晶の形状が、硬化した時の舌に与える刺激の強さを著しく左右する、だとか説明されたところでちんぷんかんぷんだったのだから。なので……。

「うんうん。さすが公爵令嬢にふさわしい知識量だ。ボクはそんな君と古くから知り合えていて、大変誇らしいよ」

 とかカーライルに褒めそやされたって、アハアハ苦笑いを返すのが関の山。
 そんなことより、ここまで来れたならもうとにかく理論より実践しかない。前もって手紙を送り、準備を進めておいてもらったチョコレート専用の巨大工場に乗り入れると、馬車たちから続々と材料を運び込み、ジェミーたちは最後の難関に挑む。