「――っていうのを作ってほしいのよね」
「わかりやした!」

 と、結構大雑把な感じで指定したはずだが、さすが帝国選りすぐりの職人たち。たちまちに建造作業は見事に進んでいく。そのサイズにそばで見ていたルゼも唸った。

「ここまでするんですか? ちょっと大掛かり過ぎな気もするんですが」
「チョコレート製造を舐めないで! これから大陸中を席巻しなきゃならないんですから、これくらいの設備は絶対に必要なんですっ!」

 ジェミーがチョコレートに懸けた燃え盛る情熱を彼に飛び火させている間にも、現地にて買い取った広い建物の中でとんてんかんてんと圧搾装置は形作られ、数日間の突貫工事であっという間に完成していった。

「よーし、後は、これらを一緒に混ぜ込むだけ~!」

 そうこうしている内に、カーライルやラバサがうまく手配してくれて、設備や人数も揃ってくる。