~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

 だが、彼からはそんなことより自分の領地で大きな収入源となっている酒造作業の方について研鑽を積むようにと言い渡され、話し合いは全然うまくいかなかった。別にそれ自体は嫌でもなく、いずれは自分を守ってくれていた穏やかな故郷に恩を返したいという気持ちはあったが、すでにカーライルの中にはなによりも優先すべき、ひとつの志がある。

 なによりも、ジェミーのために――。その一心で、初めて父に逆らうことを決めたカーライルは、屋敷中に響き渡る大喧嘩の末実家を飛び出し、ガースルに相談して国の仕事を斡旋(あっせん)してもらうことができた。そんな行動力なんて、今まで持っていなかったはずなのに。ここでも自らの成長を実感し――。

 初めての国外での生活は、苦難も多かったけれど、将来ジェミーに並び立つことを思えばどんなに辛い仕事にも喜んで臨めた。
 そして数年が経ち、彼は見事、今やこの大帝国との交渉を纏め上げる全権大使――若きエリートへと昇格した、というわけなのである。