「ふむ、おもしろいではないか。いいぞ、やってみろ。どうせ失敗したとて俺にさして影響はない。王太子である俺がある程度協力してやれば、城の中にも潜り込みやすくなるだろう」
「本気ですか!?」

 父は最後まで食い下がったが、これは王国の未来にも関わる重要な問題。なんとか説き伏せ、具体的な潜入計画を練ることになった。そこで、必要となりそうなのが母ナタリエの協力だ。

 実は、ミリィの母ナタリエは、長年王国の名を受けて各国に忍び込み、水面下で動静を見守って来た女スパイであった。その彼女の技術やそれを受け継いだミリィの力と、父や第一王子の協力があれば、なんとか固い王宮の警戒網もすり抜けられるはず。

(御嬢様、こちらはなんとかなるかも……。いえ、なんとかしてみせますから、このミリィにお任せください! そしてどうか、帝国の復興に注力されますよう~!)

 遠い空の下同じようにジェミーも全力を尽くしていると信じ。
 王宮の見取り図を前にミリィはふたりと意見を交わし、“永の蒼”奪還計画の日取りは決まった。

 近々に行われる第二王子クラフトの誕生祭。そこがミリィの大舞台となる――。