~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

 ラバサに疑われながらも、まだやや苦いそれをジェミーが飲み干すと、ようやく彼らもその効用を実感してきたようだ。

「ああ、なんだかちょっと元気が出て来たような気がする」「ですね」
「だろ? でもね、そう簡単に量産できるもんでもないのさ。中身の豆を取り出した後、数日手入れしながら発酵させてさ。その後もこんがり煎って、砕いて、余分な皮を取り除いて。その上でとにかく目を細かくしなきゃならない。手間がかかるったらありゃしないのさ」
(そうまでしてこの状態なの……)

 さっきのチョコレートソースとして楽しむ分にはまだ問題なかったが、こうして飲み物として飲んでみると、口当たりがざらざらすぎて痛いくらいだ。どうやらこの時代ではまだまだチョコレートの製法は未成熟のようす。

 ラバサ一家は、どうやら代々帝国の南方でフルーツ農園を経営してきたらしく、つい最近街道が整備されてきたことで販路が広がり、やっとこれから首都で商売ができると喜んでいた矢先だったそう。そこへきてこの帝国の不況、もうお手上げだと顎をつき出して愚痴り出した。

「へっ、帝国のお偉方が馬鹿なことやっちまったせいで、割をくったのはあたしら国民じゃないか。このまんまじゃ商売あがったりで、仲間や家族を養っていけやしない。はあ、代々大事にしてきた畑を捨てて、どっかで違う仕事を探さないといけないのかねぇ」