~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

 今の状態が長く続けば、指導者がすげ変わったり、国力の低下を感じた他国との戦争が始まるかもしれない。その予兆を肌で感じる帝国民たちの表情が陰鬱なのは、当たり前のことなのだろう。

「うーん、どうにかしてあげられないんですかねぇ」

 ここで前世のジェミーの庶民的感覚が顔を出してきた。
 少なくとも二十一世紀の日本では国と国との戦争なんて、紙の歴史に残された遠い昔のことでしかなかったから、平和な今を壊してまで新しい時代を求めるなんてこと、想像がつかないのだ。なんとか穏便に持ちつ持たれつで皆暮らしていけないか、そんな絵空事ばかり考えてしまう。

「一度周辺国から危険国家であるというレッテルを張られてしまうとね。イメージを払拭することは、一朝一夕ではできないでしょう。長い時間をかけて耐え忍びながら、地道に他国との信頼を回復していくしかないのではないかと」
「頑張ってほしいものですわね~」

 ルゼもこの事態を歓迎してはいないらしく、浮かない表情で首を撫でている。
 すぐ隣の国で戦争の狼煙が上がっていたら、なんだか安心して自由な生活を楽しめないじゃないか。なんとか踏ん張ってこのまま平和を維持してほしいと願うジェミーの前で、ゴゴッと重苦しい音を立て、金色をした、謁見の間に繋がる大扉が開かれていった。