「なに、王位の継承式まで後一年くらいなんだから、そのくらいあっという間に過ぎるさ。予定通り、ペリエライツ家の後ろ盾を得るためにジェミー嬢との婚約を行いはするつもりだが、それは僕が玉座に着くための手段だと心得ていてくれ。国王になった暁には君にも手伝ってもらって、ちゃんと彼女にはその席からご退場願うよ。そうしたら、僕たちは晴れて夫婦になれる。一生、君だけを愛すると誓うよ」
「はあぁぁぁ、素敵! わかりました! クラフト様、私それまで絶対に耐えて見せます! もう我儘は言いません!」
そう、それでいいんだ。小声で囁いた後、クラフトは彼女を抱きしめて頬にキスをし、応接室から見送る。
そして――乾いた笑いを漏らした。
「はは。清らかで特別な王妃になってくれると見込んだけれど。彼女も残念ながら他の女性と変わらないかな?」
眉を下げ落胆すると、クラフトは執務室に戻るべく廊下を歩き始める。
ジェミーが変化したせいで彼の計画に生じた、大きな軌道修正の必要性。それが、クラフトの清廉さを示すそのブルーアイに昏い陰の濁りを混ぜ込んでゆく。
「あまりこういうことはしたくなかったけれど、少々強引な手段に出る必要がありそうだね――」
「はあぁぁぁ、素敵! わかりました! クラフト様、私それまで絶対に耐えて見せます! もう我儘は言いません!」
そう、それでいいんだ。小声で囁いた後、クラフトは彼女を抱きしめて頬にキスをし、応接室から見送る。
そして――乾いた笑いを漏らした。
「はは。清らかで特別な王妃になってくれると見込んだけれど。彼女も残念ながら他の女性と変わらないかな?」
眉を下げ落胆すると、クラフトは執務室に戻るべく廊下を歩き始める。
ジェミーが変化したせいで彼の計画に生じた、大きな軌道修正の必要性。それが、クラフトの清廉さを示すそのブルーアイに昏い陰の濁りを混ぜ込んでゆく。
「あまりこういうことはしたくなかったけれど、少々強引な手段に出る必要がありそうだね――」



