「あなたほど? あいにくと、俺は凡才で狭量、傲慢であることを自覚していてな。だからこそ幼少期で、この国でもっとも勢力のある二大公爵家に見限られたのだろうが。次期国王として生まれながら、そのような辱めを受けた王太子の気持ちがわかるか? その時の恨みを俺は忘れてはおらんのだぞ、ジェミーよ」
(そりゃ単なる逆恨みでしょーが!)
プライドを傷つけられたと主張する王太子の視線を受け、ジェミーは内心で苦しく喘ぐ。文句があるなら父に直接ぶつけてほしいと願うばかりだ。そこでハッとジェミーはひとつのアイデアを思いついた。
(そだ、クラフト殿下とセニアがくっつきつつあるって教えてやるのはどう?)
今ここで彼に、セニアが名家の末裔であることを明かし、クラフトが将来彼女を娶るつもりであることを教えてやったらどうだろう?
(いや、だめか)
しかしジェミーは思い直す。彼女としてはあまり不用意に物語知識を外部に広めたくはないし、よしんばデールがそれを知ったところで現状当家が彼らにとって脅威を示すことに変わりはなく、こちらへの警戒を緩めることはないと断言できる。
(そりゃ単なる逆恨みでしょーが!)
プライドを傷つけられたと主張する王太子の視線を受け、ジェミーは内心で苦しく喘ぐ。文句があるなら父に直接ぶつけてほしいと願うばかりだ。そこでハッとジェミーはひとつのアイデアを思いついた。
(そだ、クラフト殿下とセニアがくっつきつつあるって教えてやるのはどう?)
今ここで彼に、セニアが名家の末裔であることを明かし、クラフトが将来彼女を娶るつもりであることを教えてやったらどうだろう?
(いや、だめか)
しかしジェミーは思い直す。彼女としてはあまり不用意に物語知識を外部に広めたくはないし、よしんばデールがそれを知ったところで現状当家が彼らにとって脅威を示すことに変わりはなく、こちらへの警戒を緩めることはないと断言できる。



