~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

 意外と、こういった場面ではするすると儀礼的な言葉が出てくるのだから、悪役令嬢の面目躍如と言ったところか。次いでルゼも、

「トーミアス伯爵家当主を任されております、ルゼ・トーミアスにございます。この度はアルサイド第三王子殿下からジェミー嬢の便宜を図るように命を受け、ここにまかりこした次第。まずはなにより、デール王太子殿下のご健勝をお慶び申し上げます」

 胸に手を当て、深く頭を下げて恭順の意を示した。
 しかしデールはそんな言葉にも鼻を鳴らしただけ。ともすれば陽射しのような輝きを灯すはずの黄金色の瞳は、その印象を裏切るほどに冷たく細められている。

「よく言うわ。お前もアルサイドも、あのクラフトと同じように俺の失脚を願っているのではないか?」
「滅相もございません。第三王子は、この国に騒乱をもたらすことなく玉座が受け継がれることを誰よりも願っておいでです。だからこそ、こうしてここにジェミー嬢をお連れしたのではありませんか」

 そこでじろっと、王太子の視線がルゼから自分に移り、ジェミーは微笑を維持するのに苦労する。

「ふむ、少々凶相のきらいはあるが、不美人というわけでもない、か」
(それって褒めてんの? それとも貶してる?)