~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

「どうですか? 皆様楽しんでいただけてます?」
「もちろんですわ! さすが公爵家の料理、手が込んでますわね! ん~、このエビのテリーヌ、お味が濃厚で複雑で、舌が蕩けそう!」
「こっちの鴨肉のコンフィもいいお味でしてよ!」

 リエッタがシェフの腕を褒めたたえ、イリスがそれに賛同する。ふたりのほっぺたはハムスターのように忙しくもぐもぐしており、フォークにはぐっさりとそれぞれの好みの料理がつき刺さっている。やや令嬢としては許されざるマナーかもしれないが、今日はジェミーの誕生日で無礼講だからよしとしておこう。

 豪勢な料理で埋め尽くされていたはずのテーブルからは瞬く間に料理が消えてゆき、参加者の笑い声が飛び交っている。娯楽の少ない世界だし、食事はこの世界の人にとって一番の楽しみと言っても過言ではないのだ。
 そんな人々の中に目立たずひっそりとして佇む人影を見つけ、ジェミーはびっくりして駆け寄った。

「ルゼ様、来てくれたんですか!」

 正装をびしっと着込んだルゼ・トーミアス。一応招待状を出しはしたものの彼が来てくれるとは思ってもいなかった。青年はこちらを見るなり、少し照れたように顔を背ける。