~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

 こちらの性格が変わって、日に日に遠慮がなくなり出した彼女に、こやつ、いつぞやの恐怖をまた思い出させてやろうか――などと怨嗟を込めた唸り声を上げていると、ためらいがちに外から声がかかった。

「あのう~、御嬢様。お取込み中のところ大変申し訳ありません。お客様がお訪ねになったため、お館様が応接室に赴くようにと」
「ミッ、ミリィ、ストップ! それ以上やられると顔が戻んなくなるから」
「あぁん。いいところでしたのに~」

 玩具代わりにしていた主人の足をようやっと解放し、ミリィはジェミーの身支度を整えてくれた。

「ついに来たか。はぁ、行くわよミリィ」
「はい~」

 激痛マッサージで崩れた顔をよいしょともとに戻しつつも、ジェミーの雰囲気はたいそう暗い。思い当たる来客を考えれば、これからひと山乗り越えればならないのは明白だ。だがこれも優雅なる休日を掴むため。欝な気持ちを押し殺すとジェミーは階下へと急ぐ――。