もうすぐ学期末試験が訪れ、その後、学園は夏休みに入る。つまり、クラフトやセニアと顔を合わす機会はぐんと減ることだろう。今のところ、ジェミーは断罪劇につながるような行動は起こしていないし、あれ以降目立った第一王子からの攻撃もない。

 このまま平和な日々が続くのであれば、少し余裕ができてきそうだ。順調に経営できているジェミーズ・ドロアーのテコ入れに専念してもいいし、今後予想される、クラフトや第一王子陣営の行動に対する防御策とカウンターを考えておくのもよいだろう。新たなる味方を探しに行くのもまたよし。

(それにせっかくのお休みなんだしぃ、ちょっとした旅行とかに行っちゃうのも、もしかしたらありかな~?)

 これまで頑張ったご褒美にどうかと、ベッドの上で頬杖をつき足をばたつかせニヤニヤしていると、ミリィがその足をがしっと掴み、強くぐいっと押した。
 ジェミーの背筋に電撃的な痛みが走る。

「にゃぎっ!! それやめてっ!」
「ダメです。フットマッサージは痛ければ痛いほど効果があるらしいですから~」

 どこでそんな東洋医学的なものを習得してきたのかは知らないが、ミリィは得意げにごりごりと足の裏を揉んでくる。その怪力も相まって、吐きそうなほど痛い。