動揺していたジェミーはサンドイッチを口に咥(くわ)えながら、かくかくしかじかと身振り手振り付きで、父親とした約束と、未来に予想される出来事のあらましをかい摘んで説明した。

「そういうわけで、私は覚えのない中傷を受けて学園から追放され、クラフト殿下の婚約が引き金となってペリエライツ家は全員が処刑の憂き目に！　そして、この国の新国王はクラフト殿下が選ばれてしまうんですよっ！」
「ちょっ、声が大きい！」
「むぐ！」

　ルゼがばっとジェミーの口元を押さえたが、幸い人影はどこにも見られず、彼はそっと胸を撫で下ろした。

「なんというか。でたらめな内容過ぎて、頭によく入ってこないが」
「でも本当なんです！」

　ジェミーが真顔で彼を見つめると、ルゼはこめかみを押さえてしばし頭を悩ませる。

「んー……、クラフト殿下がカレンベール帝国と繋がりがあると判明した今、ペリエライツ家や、復活したあの家の支援まで重なれば、確かに勢力図が塗り替わる可能性が高い、か。王太子を抜き去って国王に一番近い男となるのも頷ける話ではある」