呪いの言葉が夜闇に吸い込まれた、その瞬間。

「えっ!?」

 ゴロゴロ……ピシャーン!
 真っ白な光が彼女の視界を包み。
 次いで雷鳴が降り注ぐと、その体を真下につんざいた。

「……かはっ。な、ぜ」

 天罰は確かに下った。
 ただし、そんなことを言った悪役令嬢、ジェミーの方に。

 彼女の身体は白い煙を上げながら、冷たいぬかるみの上にドタリと倒れこむ。

(こんな、ことって)

 しとしとと降る雨の中。次第に暗くなる意識に、存在するはずのない世界での記憶が、浮かんでは消えていった。