~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

 ルゼは、この老いた家令の経験と観察眼を信頼している。その彼からもたらされた感想は――。

「はっ。おそれながら率直に申させていただけるのでありますれば、いささか外聞とはずれがあるように感じられました」
「お前もそう思うか」

 ルゼは静かに頷く。彼自身もそれは大きく感じていた。
 初対面時の驚きようはさて置き、ジェミーはルゼに対して、すぐに礼節を弁えた行動を取り直した。こちらの肩書を気にしてかもしれないにしろ、てっきり公爵家の威光を借りてこちらを下に見下し、こちらがあのような手紙を送ったことを糾弾してくると思い込んでいたのに。彼女のしおらしい行動にはずいぶんと意表を突かれたものだ。

 ウィリアムの話は続く。

「私が邸内を案内した折にも、予想されたような蛮行の気配は毛筋ほどもありませんでしたな。それどころか従者との関係も良好そうに見られ、屋敷を去る際には他家の人間とはいえ私のような使用人にまで丁重に挨拶を送られる始末。いっそ好感すら抱く立派な淑女振りでございました。不自然さも感じられず、あれが芝居だとしたらそら恐ろしいほどの策士です」