~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

 そう言ってにこやかに見送ってくるルゼだが、軽く握られた拳の震えからは、一杯食わされた悔しさが垣間見える。どうだ、終盤はちょっとペースを握ってやったぞと、得意になったジェミーはトーミアス家の屋敷を何事もなく後にしていった。

 その後、ウィリアムに見送られて馬車に乗り込み、ブラウンを始めとした護衛たちを引き連れ伯爵家の敷地を出ると、ジェミーの肩からやっと力が抜けた。ふしゅうぅ~と口の開いた風船のように息を吐き出しながら、彼女はくたりと座席にへたり込む。

 今回の話し合いでだいぶ気力は失ったが、ジェミーはこれでやっと少し希望の光が見えてきたことを実感する。
 第三王子を味方に引き入れ、第一王子を懐柔したならば、ふたりの王族のお力できっとジェミーの身柄を守ってもらえるはず。後は王族同士で勝手に存分にいがみ合ってくれたらいいのである。ジェミーはなぁんも関わりたくない。

「お疲れ様でございました~。まさかそんな事態になっていたとは。わたし露とも把握しておりませんで」
「ああ、いいのよあなたは。私の望む通りに動いてくれたら。はぁ疲れた、肩揉んでくれる?」
「仰せのままに」

 ミリィは話の大きさについていけそうにないのか、この件に関して深く考えることをやめたようだ。これまでは以前のジェミーの扱いで過敏になっていたが、本来は能天気でおおらかな性格なのかも。ジェミーにとってはとても扱いやす……えほんえほん。優秀で得難い人材だと思うので、これからも大事にしていきたいものだ。