~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

 兄もついてきたいとうるさく言ったが、相手に無用の警戒を抱かせないようにと説き伏せて屋敷に残らせ、ミリィとブラウン含めた護衛数名を連れ、万全を期してここに来た、というわけだ。

 門衛に馬止に案内されて馬車から降りると、そこには初老の執事がぽつんと立っている。ジェミーは自分から彼に挨拶をした。

「手紙のジェミー・ペリエライツよ。こちらのご当主にお招きに与ったのだけど、案内していただけるかしら?」
「ようこそおいでくださいました。当家に仕えし家令のウィリアムと申します。主のもとへご案内いたしますのでどうぞこちらに」
「よろしくお願いしますわ、ウィリアムさん」

 トーミアス家とやらの家令を務める男は、渋い声で静かに屋敷へと先導してゆく。
 白髭を顎周りに蓄えたウィリアムの足取りは年齢を感じさせない。軽やかでそつのないその所作は、なんの心得もないジェミーから見ても洗練されている。

 その背中を見て、ジェミーのすぐ後ろについていたハーレント兄弟がそれぞれ感想を漏らした。

「うむむ、あの御仁(ごじん)。相当の腕前だぞ。なあミリィ」