~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

 ウィンダスは手酌でグラスの中にルビー色の液体を注ぐと、くらくらと揺らして美味そうに喉に運ぶ。その様をまるで人でも殺しそうな視線でねめつけながら、ジェミーはあることに気づく。

「そのワインの銘柄、なんだか見覚えがあるように感じるのですが」
「おいおい、忘れちまったのか? これを作ってるのは親父の弟のルブロ叔父さんじゃないか」
「あっ、そうでした」

 その表面に貼られたシャトー・ルブロ・ヴォルドという簡素な名前が記された巻紙に、ジェミーは古い記憶をかろうじて掘り当てた。
 父のガースルにはふたつ下の弟がいたが、爵位継承の際に先代の当主が手持ちの爵号をガースルにほとんど与えてしまったため弟は疎遠となってしまったらしい。彼はひとつだけ受け取った伯爵位が司る領地に引き込んでしまい、以来ほとんどガースルとは口も聞かなくなったとか。

「以来ルブロ叔父さんは酒浸りの毎日だが、幸いそこは酒造りに適してたらしくてさ。仕事は部下に任せっきりで、自分好みの美味いワインづくりにすっかりはまり切っちまったんだよな。親父は何度も手紙を出してるんだが、一向に会いに来る気はないみたいだけど、叔父さんの息子のカーライルがうちに気を遣って毎月ワインを贈るよう手配してくれて。ちなみに、結構儲かってるみたいだぜ」