ブラック企業で食うや食わずやの生活を何年も繰り返す、恋の気配なんて微塵もない毎日。母とはSNSでことあるごとに「孫いつ?」「未定」なんて非生産的なやり取りが繰り返されるし。
恋愛経験なし、恋人なし。「いい人がいたらねぇ」なんて周りには笑ってごまかすけれど、胸には生涯独身を貫く覚悟がすでに刻まれていて。だって毎日お風呂で玉のお肌を磨けど触れてくれる人なんて一向に見つからないのだ。鏡に映るのはこのまましおしお萎んで枯れて、お墓の中に収まる未来だけ。
そんな切ないジェミーの娯楽と言えば、家でちょっとした小物を手作りしてネットオークションで売り捌き、お小遣いにすることだ。微々たる売り上げでも、一月頑張ればデパ地下のスイーツをいくつか楽しむことくらいはできる。それに、アロマ付き加湿器を炊いて、ネット動画をだらだら見ながらちくちく針作業などをしていれば、なんだか人生のいろんなことがどうでもよくなってくる。
それと後は、恋愛ものの漫画や小説をスマホで読み漁るくらい。とにかく暇があれば現実逃避だ。現代は素晴らしい。手のひらサイズの電子の箱で夢ときらきらが量産され、共有されているのだから。
そんな物語のひとつに、こんな話があった。
確かタイトルは『ピュアハート・アプローチ~身分違いから始まる恋~』。通称ピュアアプ。
恋愛経験なし、恋人なし。「いい人がいたらねぇ」なんて周りには笑ってごまかすけれど、胸には生涯独身を貫く覚悟がすでに刻まれていて。だって毎日お風呂で玉のお肌を磨けど触れてくれる人なんて一向に見つからないのだ。鏡に映るのはこのまましおしお萎んで枯れて、お墓の中に収まる未来だけ。
そんな切ないジェミーの娯楽と言えば、家でちょっとした小物を手作りしてネットオークションで売り捌き、お小遣いにすることだ。微々たる売り上げでも、一月頑張ればデパ地下のスイーツをいくつか楽しむことくらいはできる。それに、アロマ付き加湿器を炊いて、ネット動画をだらだら見ながらちくちく針作業などをしていれば、なんだか人生のいろんなことがどうでもよくなってくる。
それと後は、恋愛ものの漫画や小説をスマホで読み漁るくらい。とにかく暇があれば現実逃避だ。現代は素晴らしい。手のひらサイズの電子の箱で夢ときらきらが量産され、共有されているのだから。
そんな物語のひとつに、こんな話があった。
確かタイトルは『ピュアハート・アプローチ~身分違いから始まる恋~』。通称ピュアアプ。



