俺の彼女は高校教師

 何か知らんが今日もやっぱり変な連中だなあ。 でもまあ残り半年も無いんだ。
3時間目は国語。 でもまあやたらと眠いのなんのって、、、。
読んでれば眠くなるし目を逸らせば香澄が気になってしょうがない。 何とかしてくれよ。
そんなことを考えながら俺はついつい寝ちまった。 目を覚ますと川口先生はもう居ない。
「どうしたんだろう?」 「あんたが寝てる間に帰っちゃったのよ。 オホホ。」
「そっか。 まあ、そういうことも有るわな。」 「寝といてそれ?」
「いいじゃん。 お前みたいにやらかしてないんだから。」 「何よ? 私が何をやらかしたの?」
「ストーカーでしょう。 んで弘明君を扱き使うでしょう。 ついでに暇だったら家にまで呼び出すでしょう。 じゃなかったら裏口から入って弘明君を脅かすんだもんねえ。」 「香澄ちゃん 相当にやらかしてるわねえ。」
「何で小百合がそこまで知ってるのよ?」 「あらあら知らなかったの? 私は全部お見通しよ。」
「怖いなあ。」 「だったらおとなしくしてなさいよね。」
小百合は香澄に釘を刺すと麻理と話し始めた。
 「弘明君が悪いんだからね。」 「何で俺なんだよ?」
「彼女を守ってくれないから。」 「ブ、、、。 お前が彼女だって?」
「そうですわよ。」 「いつ誰が決めたの?」
「生まれる前に私が決めたのよ。」 「あっそ。」
 律子もこの頃は愛想をつかしているようで、、、。 「何とかならないの? あのうざいお嬢様。」なんて俺に言ってくる。
「知るかよ。」 「冷たいなあ。 友達でしょう?」
「あいつにはアイス最中さえやっとけば黙るからいいんだよ。」 「そんなもん?」
「そんなもんだよ。 柴犬なんだから。」 「柴犬ねえ。 つまりは馬鹿でお転婆で間抜けってこと?」
「そこまではっきり言うか。」 「言っちゃった。」
「しゃあねえなあ。」 「まあいいじゃん。」

 昼休み、図書館に行ってみると美和が本を読んでいる。 「やあ。」
「ブ、、、。 かっこ付けてどうするの?」 「たまには、、、。」
「いつもよね?」 「厳しいなあ。」
「学校だから。」 「すいません。」
 美和の隣でいつものように本を開く。 「今度の日曜日さ、バースデーパーティーやるのよ。」
「知ってる。 この前も言ってたから。」 「それでさ、夢雨に聞いたんだ。 そしたら「ぜひ来てほしい。」って言われちゃった。」
「行くのはいいけど突っ込み大会は無しだよ。」 「それも話しといた。 「分かったから呼んでくれ。」って言われちゃったわ。」
「どうなるんだろうなあ。」 「大して大げさなことはしないわよ。」
「そうなの? 美和のことだから誕生祝にフラダンスやったりすんのかと思ったら、、、。」 「私って色っぽくないからねえ。」
「イナバウワーでもやればいいじゃん。」 「荒川静香じゃないから無理よ。」
 苦笑する美和を見ながら俺は想像してみた。 美和のイナバウワー。
でもなんか、そのままひっくり返りそうな勢いだよな。 大笑い隠し芸大会になっちまうわ。
だからって夢雨がフラダンスをやると、、、。 そのままフラフープが飛んで行きそうだし、、、。
だったら二人でピンクレディーでも踊ってたほうがいいかもなあ。 なんちゅう想像をしてんだよ?

 想像を膨らませながら本を置いて目の前を見ると、、、。 「じゃーーーん。」
「うわ、いつの間に来たんだよ?」 「失礼ねえ。 5分前には居ましたけど。」
いつの間にか美和が居なくなっていて香澄が本を読んでいた。 (雰囲気ぶっ壊しやがってこの野郎。)
 ハッピーな気分がぶっ壊れて収まりどころの無いモヤモヤを抱えたまま5時間目に向かうのですよ。 ああ、しんど。
数学の授業中。 俺はどうもさっきからニヤニヤしているらしい。
(今度の日曜日は誕生会なんだよなあ。 んで夢雨も来るわけだ。 とするとだなあ、、、。) ぼんやりしていると出席簿が飛んできた。
「いてえ!」 思わず大声を出してしまったもんだからみんな揃って大爆笑してる。 やられたわ。
 「何か夢見てたのね?」 「いや、そんなんじゃないけど、、、。」
「廊下に立ってなさい。」 美和が真剣な顔で怒るもんだから律子も香澄も笑いが止まらないらしい。
 廊下に出てみると2年の金沢さつきも立たされているみたいだな。 (やられるやつはやられるんだなあ。)
ぼんやりとさつきを見ていると窓が開いた。 「真面目に反省してる?」
「うん。」 「うんじゃないの。 今は「はい。」よ。」
「ごめんごめん。」 「あのねえ、今は生徒と教師なんだから考えてよ。」
「すいません。」 「仲いいからって調子に乗らないで。」
 バシッと窓を閉めた美和は教団に戻っていった。 (浮かれすぎたかな、、、。)
その後は授業が終わっても俺のほうを振り向くことも無いまま美和は職員室へ戻っていった。 「弘明君 終わっちゃったね。」
「何が?」 「美和先生。」
「ふーん。 何とも思って無いけど。」 「そうかなあ? 寂しそうにしてるけど、、、。」
(ギク、、、。 読んでやがる。) 「まあまあ火遊びだけはしないでね。 ダーリン。」
「誰がダーリンだよ?」 「あなたよ。 あ、な、た。」
「そうなの? ふーん。」 「ああ、また香澄ちゃんを置いてく気だあ。」
何や知らんが香澄は今日もいつもと変わらず追いかけっこを仕掛けてくるんであるよ。 面倒くさいなあ。

 そんなこんなで24日の日曜日になりましたですよ。 はいはい皆さん おはようさんです。
行かないことにしてたんだけど「ぜひ、、、、。」って言うもんだから美和に迎えに来てもらいました。 「こないだはごめんね。」
「何が?」 「出席簿でひっぱたいたりして。」
「ああ、痛かった。」 「私の部屋ならいいんだけどさあ、教室で寝言を言うのはやっぱりダメよねえ。」
「え? 寝言?」 「気持ち良さそうな顔して美和ちゃん 美和ちゃんって呼ぶんだもん。 思いっ切り焦ったわよ。」
「それでか、、、。」 「寝てもいいけど私は呼ばないでね。 焦るから。」
「分かった。 気を付けるよ。」 「有村先生じゃなくて良かったわ。」
 いつもの通り裏道をすっ飛ばしてマンションへやってきました。 夢雨ももうすぐ来るんだそうで、、、。
「取り敢えずケーキも買ってあるし料理もオードブルを買ってきたから大丈夫。」 なんか美和も楽しそう。
「真昼間から酔っ払うわけにはいかないからお酒は買って無いけどね。」 「そうなの?」
「その代わりコーヒーとかココアとかジュースとかある程度の量は確保したから大丈夫。」 そして美和はバースデーカードを用意した。
「準備万端。 いつでもオッケーよ。」 「一人で準備したの?」
「そうよ。」 「言ってくれたら手伝ったのに。」
「じゃあ来年からは手伝ってもらうわね。」 ピンポーン。
「ほら来た。」 美和はcdを掛けると玄関ドアを開けた。
「こんにちは。」 「夢雨、誕生日おめでとう。」
「ありがと。 美和ちゃん。」 「料理もたくさん有るから食べてね。」
「うん。 お腹空いちゃった。」 「もしかして朝食抜いたとか?」
「もちろんよ。 いっぱい食べなきゃ損だもん。」 二人は今日も楽しそう。
あんまり楽しそうだから今日も乗り遅れてしまった。 「弘明君も一緒に祝ってくれるって。」
「そう。 ありがとね。」 (何だそりゃ?)
 「夢雨、もっと喜んであげてよ。」 「ああ、ごめんごめん。 でもなんか合わないのよ この人と。」
「こらこら、呼んだ私の身にもなってよ。」 「ごめんごめん。」
 そう言いながらも夢雨は美和と仲良くお喋りしております。 俺はさっきからフライドチキンに齧り付いたまま。
美和がコーヒーを入れてきた。 夢雨は美和から貰ったプレゼントを開けようとしております。
「ワー、ペンダントじゃない。 可愛いなあ。」 「そう? 気に言ってくれたら嬉しいなあ。」
「うんうん。 三日月にウサギが乗ってるのってなんか可愛いよね。」 そう言いながら早速ぶら下げるのであります。
ペンダントをぶら下げた夢雨は幸せそうな顔でケーキを食べております。 美和は何だか申し訳なさそうに俺を見詰めてきてる。
 俺はふと立ち上がって持ってきたcdを掛けました。 ストライプジェリーのライブ盤。
「え? これってストライプジェリーじゃない?」 「そうなの? 私じゃないから分からない。」
「もしかして、、、宏、、、何だっけ?」 「弘明だけど、、、。」
「そうかそうか。 宏明君が掛けてくれたの?」 「そうだよ。 気に入るかと思って。」
「私ねえ、このバンド好きなのよ。 何かかっこいいでしょう?」 「ぼくは詩が好きだな。」
「そう? 私はこの歌声が好きなのよねえ。」 夢雨はライブ盤に聞き惚れている様子。
いきなり俺に話し掛けてくるもんだから俺は俺でドキドキしっぱなし。 美和もようやく少しは安心したみたい。
 ライブ盤は2枚組。 2時間くらいかな。
その間に食べる物も食べちまって後は飲むだけって感じ。 「弘明君さあ、美和姉ちゃんのことが好きなんでしょう?」
(ドキ、、、。) 「あらあら図星だった?」
「う、うん。」 「じゃあさあもっと勉強して偉くなってね。 美和姉ちゃんは学校の先生なんだから。」
 いきなり突いてくるもんだから冷や汗物だぜ まったく。 と思っていたら美和がシャンパンを持ってきた。
「え? お酒?」 「大丈夫。 子供用だから。」
「美和姉ちゃんも時々冷や汗掻かせるんだよなあ。」 そう言って夢雨は頭を掻いている。
三人で飲むシャンパンもいいなあ。 時計を見るとまだまだ3時半。
特にイベントらしいイベントも無く食べて飲んで喋って終わる誕生会もいいもんだな。 俺はそう思った。
 「なんかお腹いっぱいで動きたくないなあ。」 「しばらく寝ててもいいわよ。」
「そうねえ。 いいのかなあ?」 夢雨は寝室へ入っていった。
「弘明君は行っちゃダメよ。 私が居るんだからね。」 小声で俺に釘を刺してくる。
「分かってるよ。 夢雨にまで手を出したら生きてられないじゃない。」 「そうよ。 後は地獄しか無いんだからね。」
「怖いこと言うなあ。」 「二股はそれだけ怖いのよ。 ウフ、」
涼しい顔で美和は俺に釘を刺す。 いやいや、泥沼に嵌りそうな勢い、、、。