俺の彼女は高校教師

 それから40分ほどしてやっと掃除を終わらせた香澄が飛び出してきた。 「あーーーあ、大変だった。」
「お前が噴火させるから。」 「何よ? 元はといえば、、、。」
「分かった分かった。 どうせ「あんたが悪いだ。」って言いたいんだろう?」 「う、うん。」
「そこだけ素直になるんじゃねえよ。 馬鹿。」 「また馬鹿にした。」
「馬鹿にしなきゃ何にするんだよ?」 「私は天才なの。」
「え? お前がか?」 「何か不満でも?」
「そうか。 人を怒らせる天才だな。 確かに天才だ。 あははは。」 「何笑ってんのよ? 意地悪。」
「ほら、さっさと行くぞ。 メス狸。」 「何よそれ?」
 夕暮れ迫るバス通りを走っていく。 いつかの青春ドラマのような俺たち、、、。
交差点まで来ると俺はコンビニへ飛び込んだ。 香澄はそれに気付かずに駅へ行ってしまった。
 いつものようにアイス最中を買って駅にやってくる。 香澄は居ないみたいだな。、、、。
一人でアイス最中を食べながら電車を待っていると「バーーーー‼」って香澄が飛んできた。
「アホか。」 「アホは無いでしょう? 笑わせようと思って必死に考えてるのに。」
「お前のギャグは頭が痛いわ。」 「何よ、彼女に向かって。」
「だからお前は友達だっつうの。 はいこれ。」 「あ、ありがと。」
 噴火しそうな香澄はアイス最中を差し出されて噴き出せなくなっている。 「飯を食いそびれた三毛猫みたいだなあ。」
「譬えが変だよ。」 「いいの。 どうせお前なんだから。」
「どうせは無いでしょう? どうせは。」 「いいじゃんか。 ほら来たぞ。 ペリカン。」
「ペリカン? 私ってあんな顔じゃないから。」 「ひでえなあ。 お嬢様はペリカンを馬鹿にするんですかな?」
「あんなのと一緒にしないで。 カブトガニ。」 「何だよ? 俺はまだ死んでないぞ。」
「似たようなもんよねえ。 生きた化石なんだから。」 「いいもん。 お前はステゴザウルスの親戚なんだろう?」
「あんなのと一緒にしないでよ。 人間なんだから。」 「ほうほう、元気いいなあ。 調子戻ったのか?」
「たぶんねえ。」 「アイス最中のおかげだな。 ハハハ。」
 電車の中で俺は香澄を弄り続けております。 悪い男だなあ。
そう思うんならやめてやれよ。 そう思うけどやめられないんだよ これがまた。
この調子で12年間一緒に歩いてきたんだ。 この先も一緒なのかなあ?
 翌日、昨日とは打って変わって香澄も元気満点。 朝から走り回っております。
「だからやめろっての。 うるさいんだよ 馬鹿。」 「また私を馬鹿にした。 許さないんだからーーーー‼」
「そのセリフも聞き飽きたから換えてくれないか?」 「これが私なのよ。 変わらないわよ ずっと。」
「お前さあ、ちっとは俺のことも考えろよな。」 「考えてますけど何か?」
「考えてねえだろう。 追い掛ければいいと思って。」 「失礼な、、、。 私は白バイじゃないのよ。」
「白バイみたいなもんじゃねえか。 なあ小百合。」 「そこだけいきなり振らないでよ。 馬鹿。」
「ワー、小百合ちゃんに突っ込まれてやんの。 ざんねーーーん。」 「は? 振り切っただけなんだけど、、、。」
こうして今日の教室はどっか変なんですわ。 香澄が元気いいとこうなるんだよなあ いっつも。
 ってかさあ、何で小百合まで冷めてるわけ? 訳分からん。
「いいじゃないの。 小百合は小百合。 私は私。 これでオッケー。」 「アホか。」
「また馬鹿にしたなあ? 許さないんだからーーーー‼」 「前を見ろ‼」「おっとあぶなーーーーい。」 「もう。 香澄ちゃん ちっとは周りのことを考えなさい。」
「ごめんなさーーーい。」 有村先生なら罰掃除なんて言わないからいいけど、ほんとに危ない女だぜ。
 昼休みになりました。 珍しく図書館にまで香澄が付いてきた。
「何で付いてくるんだよ?」 「いいじゃん。 彼女なんだから。」
「ふーん。 彼女ねえ。」 「ご不満でも?」
「こんなお嬢様は合わないんだけどなあ 俺には。」 「いいじゃん。 付き合わせてよ。」
「きも、、、。」 「きもいって言ったわよね? きもいって。」
「言ったけどどうかしました?」 「ほんとに意地悪なんだから。」
「あらあら、仲いいわねえ。」 そこにミナッチが入ってきた。
「ミナッチも本読むの?」 「うん。 伝記好きだから。」
「そうなんだ。」 「あれあれ? ミナッチの隣に座ったぞ。 浮気してるーーー。」
「お前はアホか。」 「アホだもん。 よくお帰りで。」
「は? それを言うならよくお分かりで、、、だろう? 馬鹿。」 「間違えた。」
 本を読んでいるミナッチも笑いを堪えているのがよく分かる。 「ほらほら、ミナッチも苦しんでるんだから変なこと言うな。」
「じゃあ言わせないでね。 あ、な、た。」 「ググググ、、、。」
「だからさあ、変なこと言うなっての。」 「あなたが仕込んでくれたら言わないわよ。」
「ガハハハハ。 面白過ぎーーーーー。」 「ほら見ろ。 ミナッチまで笑い転げただろうが。」
「知らないもん。 宏明君が悪いんだもん。」 「香澄ちゃん ちょっと本を読ませてよ。」
「ごめんなさい。 宏明君に謝らせますから。」 「何で俺なんだよ?」
「いいじゃない。 私の代わりに謝ってよ。」 「弘明君も大変ねえ。 こんな彼女で。」
「大丈夫。 こいつが勝手に思い込んでるだけだから。」 「ふーん、そうかなあ?」
「私ねえ、告白されたの。 宏明君に。」 「いつだよ?」
「生まれる前に。」 「ブ、、、。」
「だからさあ、お前、、、。」 「なあに?」
「もういいわ。 教室に帰る。」 「やだやだ。 置いていかないでーーーーー‼」
そんな俺たちをミナッチはポカンとした顔で見送るのでした。 その日の放課後、、、。
 「ねえねえ弘明君。 一緒に帰ろうねえ。」 「ストーカー香澄様。 律子さんとはお帰りにならないんですかな?」
「何がストーカーよ‼ 意地悪‼」 「っとか言いながら本当は喜んでるんだろう?」
「う、うん。 ってあのねえ。」 「本音だな。 このドm女。」
「いいじゃない。 もっと優しくしてよ。」 「優しく虐めればいいのか?」
「そうじゃなくてーーーーーー。 分かってないんだからなあ。 宏明君は。」 「分かって堪るかってんだ。」
「あっそう。 じゃあ付き合ってあげないわよーーーーーーだ。」 「いいよ。 小百合も律子も居るから。」
 とか言いながら香澄は俺の後ろをチョコチョコと付いてくるのであーーーーる。 ほんとに柴犬だぜ こいつ。
「よう、柴犬ちゃん。 餌は欲しいか?」 「ワン‼」
「ほら、餌。」 俺はバッグに入れておいた昨日のパンダ焼きを差し出した。
「ウーーー、ワン‼」 「やっぱりアホだわ。 こいつ。」
「何ですって? やっぱりアホ?」 「そうだよ。 生まれ持っての天然アホだな。 お前は。」
「だから弘明君のお嫁さんになるのよ。 オホホ。」 「きも、、、。」
「なあに? きもいって言ったわよね?」 「言ったけど何か?」
「何か?じゃないわよ。 彼女を傷付けておいて。」 「彼女ねえ。」
「ご不満でも?」 「馬鹿だしデブだしのろまだしご不満ですわよ。 お嬢様。」
「いいもん。 エッチしたことお父さんにばらしてやる。」 「こらこら、それはやめなさい。」
「でしょう? だったら可愛がってよね。」 「ちきしょう、しょうがねえな。」