俺の彼女は高校教師

 12月8日は日曜日。 太平洋戦争がおっぱじまったとかいう日だねえ。
そしてそしてあのジョンレノン様が殺された日でもあるとか、、、。 そんな日曜日、俺と姉ちゃんは同じ布団の中で転がっております。
 たまにぶん殴ってくる姉ちゃんを蹴り飛ばし、くっ付いてくる姉ちゃんを泣かない程度に引っ叩いてまた寝ておりますよ。
 「ファーー、今何時?」 「10時半だって。」
「もうすぐ昼ねえ。」 「腹減ったね。 姉ちゃん。」
「そうねえ。 あんたが叩いたり蹴飛ばしたりするから疲れちゃったわよ。」 「お互い様じゃん。」
「何だって? ばらしていいのかなあ? 何回私を抱いたかなあ?」 「そんなにやってないよ。」
「へえ、ごまかせるんだな?」 姉ちゃんはそう言いながら迫ってくる。
その時に俺のスマホが鳴った。 「電話だって。 残念だねえ。」
「もうちょっとだったのになあ。」 悔しそうな姉ちゃんをよそに電話に出てみる。
 「もしもし。」 「弘明君 今何してる?」
「姉ちゃんとじゃれ合ってるよ。」 「えーーーーーー? お姉さんのほうがいいの?」
「魚の匂いもしないしいいかもなあ。」 「あのなあ、猫じゃないんだから。」
「いいじゃん。 香澄猫って。」 「置き物じゃないんだから考えてよ。」
「お前だったら置物でちょうどいいわ。」 「ひどーーーーい。 私が置き物だって。」
 香澄は何かを食べながら電話してきてるらしい。 「美味そうな音が聞こえるなあ。」
「美味しいわよ。 卓也のカレーラーメン。」 「あっそ。 俺、そういうのには興味無いから。」
「たまには私の興味にも乗ってよね。」 「上に乗ればいいのか?」
「あのねえ、そんなんじゃないってば。 もういいわよ。」 香澄が電話を切ったもんだから姉ちゃんがクスクス笑ってる。
「嫌われたもんよねえ? あんた。」 「毎度ですけど、、、。」
「いいのかなあ? そういう態度で?」 「ほらほらほら。 またまた誘惑してきたぞ。」
「こらこらこら、何を言ってるの?」 小学生時代に戻ったみたいな感じだなあ。
 「萌えてもらおうかなあ。 今日もたくさん。」 「いっつも燃えてるやん。」
「足らないのよねえ。 あんた。」 「えーーーー? 弟を食べる気だあ。」
「いーーーっぱい食べてあげるわよ。」 「その前に昼飯を食べようよ。」 「忘れてた。」
「忘れるなよ。 馬鹿。」 「何だって? ばらしちゃおうかなあ?」
「それはいいから、、、。」 俺は逃げ回る姉ちゃんを捕まえて脇を攻撃する。
「ギャハハギャハハ、まいったまいった。」 まるでゴキブリホイホイに捕まったトンボみたいにバタバタしながら訴えてくる姉ちゃんの上に乗ってみる。
「あんたやっぱり飢えてるのねえ? してもいいわよ。」 耳元でこそこそと言ってくるもんだからそれがまた擽ったい。
 一悶着も落ち着いてラーメンを食べている俺たち、、、。 外はいよいよ冬。
「あんたももう卒業ね。 今後はどうするの?」 「姉ちゃんと一緒になろうかなあ。」
「アホか。 あたしはあんたのメイドでも人形でもないのよ。」 「ブ、、、。 いっつも迫ってきといてか?」
「何だって? このこのこの、、、。」 割り箸で頬っぺたを刺してくる。
だから俺は脇を擽ってやる。 「ワーワーワー、変態が居るぞーーーーー。」
「だからさあ、、、。」 「何よ?」
「自分から突っ込んできてそれはねえだろうっての。」 「ばらそうか?」
「それはやめろって。」 そう言いながらゆで卵を姉ちゃんの口に放り込む。
「アグ、、、。」 姉ちゃんが悶絶している間に食べ終わった俺は部屋に帰ってのんびり、、、。
 YouTubeを見ながらのんびりしていると姉ちゃんが入ってきた。 「殺されるところだったわよ。」
「誰に?」 「あんたによ。」
「ふーん。 そうなの?」 「いいのかなあ? 美和に香澄ちゃんのことをばらしても。」
「ワワワ、それはやばい。」 「でしょう? だったらもっと優しくしてよねえ。 宏明君。」
こういう時の姉ちゃんは逆らわないほうがいいんだ。 ろくなこと無いからさ。

 さてさて月曜日。 教室に入ってみると小百合と香澄が話してます。 何をやってるんだろう?
それにしてもなんか今日の香澄は楽しそうだなあ。 「弘明君 放課後さあ本屋に行かない?」
不意に律子が誘ってきた。 「珍しいなあ。」
「トラベリングバスターズの写真集が今日出るのよ。 それを買おうと思ってさあ。」 「バスターズねえ。 俺も欲しいな。」
「じゃあ一緒に行こうね。 決まり。」 律子はいつになく嬉しそうだな。
 その日の休み時間はこれまたこれという騒ぎも無いままに過ぎておりましてどうも変な感じ。 「待てーーーーー‼」とか「こらーーーーー‼」とかいう声が聞こえなくて。
うるさいのが俺たちのクラスだったからなあ。 何か変だよ みんな。
 昼休み、いつものように図書館に行ってみるとミナッチと律子が楽しそうに本を読んでいるのが見えた。 (うわ、居るわ。)
「どうしたの? おいでよ。」 帰ろうとした俺を律子が追い掛けてきた。
 俺が複雑な顔をしていると、、、。 「あらあら弘明君も居たのね? まあおいでよ。」ってミナッチまで笑い掛けてきた。
(しゃあねえな。 付き合うか。) 「しゃあねえなって思ったでしょう? そんなこと無いわよ。」
ミナッチは俺に構わず笑い掛けてくる。 まあ、ミナッチとは何も無いからいいけどさ。
 静かな静かな図書館。 三人並んで本を読んでおります。
学芸委員会が話し合いをやるそうで、校内放送が聞こえる。 その後には選挙管理委員会の話し合いなんだとか、、、。
確かにもうそんな時期だよなあ。 次は誰なんだろう?
 「ハックショーーーーーーン‼」 「え? 誰?」
静かな空間でいきなりどでかいくしゃみをするもんだから、みんなはそっちを振り向いた。 そして、、、。
 「なあんだ。 香澄か。」 「脅かさないでよ。」
「ごめん。 そっと入ろうと思ったら、、、。」 「コソ泥じゃないんだからさあ、、、。」
「いいんだもん。 私泥棒じゃないんだもん。」 「また始まった。」
「またって何よ? またって?」 「やめなさいよ。 みんな本を読んでるんだから。」
「だって、、、。」 「だってもくそも無いの。 昼休みくらい考えてよね。」
 ミナッチまでが噴火したもんだから香澄は縮こまってしまった。 (世話焼けるなあ。)
「弘明君 同罪だからね。 きちんと見てなさいよ。」 「怖いな、、、。」
「これくらいが何よ? あんたが嗾けるから調子に乗るんじゃないの。 分かってる?」 「は、、、、はあ。」
 これじゃあどうしようもないぜ。 こんなお嬢様の面倒を見ることになろうなんてなあ。
本を棚に戻して香澄を追い掛ける。 香澄は俺の姿が見えると走り始める。
「いつまでやらせんだよ? 馬鹿。」 やっとの思いで捕まえた時には昼休みが終わっていた。
「だって、、、。」 「あそこでお前が駄々をこねるからミナッチまで噴火したんだぞ。 分かってるのか?」
「それはそうかもだけど、、、。」 「そうもさあも無いんだ。 ああもこうなんだから。」
「何が言いたいの?」 「お前が馬鹿だから俺まで馬鹿になっちまったよ。」
「私のせいなの?」 「そうよ。 香澄。」
「ワワワ、小百合ちゃん、、、。」 「また弘明君を困らせてたのね? 許さないわよ。」
「だだだだだ、だって、、、、。」 「だってもつっても要らないの。 きちんと謝りなさいよね。」
今日の小百合は頭から湯気が立ち上っているらしい。 キッと香澄を見据えて睨みつけている。
「だからだから、、、。」 「だから何? お父さんからもお説教されたわよね? 忘れたとは言わせないわよ。」
 「小百合、掃除が、、、。」 「お説教が先。 みんなでやってて。」
小百合は向き直ると香澄をまた攻め始めた。 「どうなの? 忘れたの? 覚えてないの? どっち?」
「覚えてるわよ。」 「じゃあさあ、弘明君に迷惑掛けたりしないわよねえ? おかしいんじゃないの?」
「そんなこと、、、。」 「はっきり言っておくわ。 宏明君はただの友達なんだからね。」
「う、うん。」 香澄は下を向いたまま泣き始めてしまった。