見せかけロマンチック




隣にいる裕貴くんに申し訳ない…と思いながらも、お弁当を持つ手にギュッと力を入れる。

知世は裕貴くんに嫉妬してたわけで……っ、裕貴くんといるとさっきを思い出しちゃう。


平常心を保とうと頑張っていると、裕貴くんは周りを見て口を開いて。


「やっぱり麗ちゃんといると皆見てくる」

「え?」

「視線感じるから。麗ちゃん大人気だね」


すごいね、とでも言うような顔で笑った裕貴くんにポカーンとする。
いや、それ私だけじゃなくて……。


「えっと……それ裕貴くんじゃない?」

「え、俺?」

「私、裕貴くんといると視線すごいっていつも思うよ。裕貴くんかっこいいから皆見てる」

「…っえ?」

「ふふっ、やっぱり気づいてなかったの?有名なのに」


私への視線もあるだろうけど、裕貴くんといるとそれ以上に増えるし。

あまりに無自覚で思わず笑みが溢れてしまう。

すると、驚いたような裕貴くんの顔が、どんどん赤く染まっていった。