見せかけロマンチック




「顔真っ赤だけど、その顔で職員室行ったら喰われるぞ」

「…っ、あんったのせいでしょうが……っ!!」

「その顔俺以外に見せたら許さない」

「…〜〜っ」


全部の意識が知世に持っていかれて、ヘナヘナと床に座り込む。

そんな私を満足そうに見た知世は「じゃ、行ってこいよ」と言い空き教室から出て行った。


行かなきゃなのに……っ、早く、熱冷めてよ……っ!!
どこか放心状態になりながら、顔の熱を冷ますようにパタパタと手で仰いだ。


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「…麗ちゃん、大丈夫?」

「っえ!?あ、うん大丈夫だよ」


用事が済み職員室から教室に戻る途中、お弁当を持ちながらボーッと歩いていると、隣にいる裕貴くんに声をかけられた。

っ、なんとか顔の熱は冷めたけど、頭の中が知世で埋め尽くされてる……っ!!


先生の話も正直よく聞いていなかった。球技大会という言葉がうっすら聞こえたぐらい。