そのまま屋上を出て階段を下りる。
周りに人がいないことを確認して知世の背中に話しかけた。
「私一旦教室に戻ってお弁当を……って、知世?どこに……」
教室に戻っているのかと思いきや、思っていた所と違う場所で曲がる知世に、あれ?と困惑してしまう。
な、なに?どこに向かって……っ!
すると、私がまだ行ったことのない空き教室に入り、バタンと扉を閉めた。
「ちょっと…っ!私行かなきゃなのに……!!」
私を壁に追いやる知世にそう言った時、右も左も知世の腕で塞がれた。
な、なにしてんの……っ!!壁ドンみたいになってるが!
「あー…っ、ほんとにやだ」
「やだ…?なにが……っ」
「大槻くんのとこに行かせたくない」
知世にしては珍しく、どこか余裕のなさそうな目で私を見つめている。
至近距離で見るその表情に心臓がギュッと掴まれたような気がした。

