見せかけロマンチック




「どうかしたの?」


お兄ちゃんのそんな問いに、えっと……と口を開く。


「私これから裕貴くんと職員室に呼ばれてるから行かなきゃで。なずご飯食べ終わってないから私一人で戻るって話してたとこ」

「……へぇー、じゃあ俺も戻るわ」


私が説明すると、知世がなんだか怖い顔で笑って。
それに少し背筋が凍る。


「いい?はる」

「…まあ別にいいけど。うらを困らせすぎないでね」

「はいはーい。ほら行くぞ麗」

「は、ちょ……」


お兄ちゃんの同意を求めると、私の腕を引いて歩き出して。

強制的に歩かされたまま、お兄ちゃんとなずの方を見る。


「じゃあなずなちゃんは俺と話そう。置いてかれた者同士」

「そうですね。すみません私ご飯食べてる状態で……」

「いいよ。隣失礼するね」


二人で大丈夫かと思ったけど、杞憂だった。
お兄ちゃんとなず、思ってたよりも合うみたい。

二人で話し出したのを見て、私は仕方なく知世の腕に身を任せた。