見せかけロマンチック




お母さんの呆れた声にいつもの調子で返すと、さらに呆れた声が返ってくる。

すると、そんな私達の会話を聞いてか、後ろから吹き出して笑う声が聞こえた。


「ぶ…っ、はは……!!」

「……何笑ってんの」

「俺ずっと笑うの堪えてたんだよ……っお前別人すぎだろ…あはは……っ!!」

「あんただって別人すぎるでしょ!誰かと思った」


後ろを向くと、お腹を抱えて笑う知世と目が合った。

人のこと言えないぐらい別人と化した知世は、さっきまでの雰囲気とは似合わない笑い方をしている。


そう。天羽麗と波澄知世は、とんでもなく厄介な猫かぶりなのだ。


「うら、変な男に言い寄られないようにね。あの感じだと、明日から大変だろうし」

「大丈夫だよお兄ちゃん。私人を見る目はあるから!新入生代表挨拶の時あそこまで注目されるとは思わなかったけど」

「何かあったら言ってね」

「まじお兄ちゃん神、大好き」