あれから五月に入ってしばらく経った。
「「きゃーーーっ!!!」」
教室にいると突然廊下が騒がしくなり、なずと顔を上げる。
……なに?女子達が騒いでるけど……。
「待って待って!!なんで王子様と遥様がここに…っ!?」
「え、ほんとにやばい!!お二人ともかっこよすぎる……っ!!」
……は?今、王子様と遥様って言った……?
一年の廊下にいるはずのない人達の名前が上がって、なずと二人で思わずドアの方をバッと見ると。
「…あ、よかったいた」
「お、お兄ちゃん…っ!」
私のクラスに顔を覗かせたお兄ちゃんと目が合って。
私を見て近づいてくるお兄ちゃんと、付き添いであろう知世。
……な、なんでお兄ちゃんは制服なのに、知世は体操着着てんの……?
「どうしたの……?」
「ごめん、多分うらと俺の体操着逆かも。体育だから着替えなきゃで」
「え、嘘…!なんでだろう……」
「袋は合ってるのに中身が違うから、単に入れ間違えちゃったのかな。それか洗濯してる時にごちゃ混ぜになってたり」

