見せかけロマンチック




そんな私を見て考えるようなそぶりをした知世は、ソファの上で私に向き直った。


「…強いて言えば、男と女?」

「…は?」

「お前にとって俺は男。だろ?」

「……うん、まあ……え?」


男と女……?
確かにそうだけど……。

すると、知世の雰囲気がガラッと変わった。


「友達じゃなくて兄でもない、ただの男」

「……っ、な、なんか、それじゃあ……」


な、なんでだろう……変な意味に聞こえる……っ!?
知世が知らない男の人、みたいな……そんな人に見えて、バクバクと心臓が鳴り始めてる。

そんな私の目を知世はどこか熱の篭った瞳で捉えると、もう目が逸らせない。


「男といるってのに警戒心ないな。何されるかわかんねえよ?」

「っ、な、なに……っ」


容赦なく近づいてくる知世に、ピシッと動けなくなって。
今の知世は危険だと、頭の中で警報が鳴っている。

そんな中、知世はあっという間に私の両腕を掴んだ。


「ほら、こんな風に……」